トローリングのワールドカップ
今年の優勝の行方は!?
大会2日目。実はこの日が運命の日になる。出航して間もない午前8時20分。一艇のボートがヒットした。ラインが出てリールが悲鳴を上げ、ファイトの始まりだ。何度も飛び跳ねる姿は、ブルーマーリンに違いない。ヒットしたボートは、「モンキービズⅡ」号で、チームは日本から参加のヒルトン・グランドバケーション・チーム。アングラーは金子氏だ。3時間半の格闘の末、釣り上げたブルーマーリンの重さは、689ポンド(約310キロ)。もちろんこの日最大の重量で、大会47年の記録上、80ポンドのラインで釣り上げた3番目の大きさとは、たいしたものだ。もちろんこの1発が、チーム・ヒルトン・グランドバケーションを首位に押し上げた。
大会3日目。この日もドラマチックだった。カリフォルニア州から参加しているパジャロ・バレー・ゲームフィッシング・クラブが2本のブルーを上げて900ポイントを獲得し、889ポイントのヒルトン・チームを抜き、トップに躍り出た。
ここで簡単にルールを説明しておこう。
ゲームは5日間で朝7時から午後4時までの、のべ45時間。
基礎ポイントは、釣り上げた300ポンド以上のビルフィッシュ(パシフィック・ブルーマーリン、ブラックマーリン、ストライプド・マーリン、ブロードビル・ソードフィッシュ)の重量1ポンドに付き、1ポイントが加算されていく。つまり前述の689ポンドの場合は、単純に689ポイントを獲得することになる。イエローフィン・ツナ(キハダマグロ)の場合も、100ポンド以上であれば同様にポイントになるが、それ以外の魚には別のポイント制が適用される。
さらに基礎ポイントに加え、ボーナス・ポイントという制度がある。例えば釣り上げるラインが細いほど切れるリスクが高いわけで、より一層のテクニックがアングラーやキャプテンに求められる。そこで80ポンドの太いラインで釣り上げた場合は基礎ポイントのみとなるが、50ポンドの細いラインで釣り上げれば、基礎ポイントに33.3%が加算されるというわけだ。
また500ポンド以上の大型魚の場合には、さらに100ポイントを加算。その日で一番大きな魚であると確認されれば、さらに100ポイント加算。よって前日のヒルトン・チームは689ポイントに100+100が加算されて、889ポイントを獲得したという計算になるわけだ。
ほかに小さめの魚(個体数)を保護するため、釣り上げたらすぐに生かしたまま逃がすタグ&リリースという方式も採用されている。タグ&リリースの点数は、ブルーマーリンでは80ポンドラインで250ポイント、50ポンドラインで300ポイント。小さめだと思ったら、わざわざ釣り上げずにリリースした方が、自動的にポイントが加算されて有利になるうえ、個体数保護にも貢献できるというわけだ。
さて大会4日目。この日はそれまでの3日間分と同じ11本のマーリンが釣り上げられ、再びヒルトン・チームが1,139ポイントで首位に返り咲いた。3チームが900ポイントで2位タイについている、熾烈なトーナメントだ。
そして5日目の最終日。この日も10本のビルフィッシュがヒット。そしてヒルトン・チームがダメ押しともいえる139ポンドのイエローフィン・ツナ(キハダマグロ)を釣り上げて1,239ポイントを獲得。優勝を確実にした。釣り上げたアングラーは、2日目に歴代3位のブルーマーリンを釣り上げたあの金子氏だ。まさに金子氏が主役のトーナメントになった。
しかしトローリングは、釣り上げるアングラーだけの力では成り立たない。ボートキャプテンとそのクルーによるサポートがなければ成し得ない、チームプレーでもあるのだ。キャプテンの役割は、長年の経験で天候や潮を読み、魚群を探し当て、ヒットしたマーリンを確実に取り込むための操船。そしてクルーがそれをサポートする。そうした功績を表彰する賞が、1960年代にその名をとどろかせた名キャプテン、ヘンリー・チーにちなんで「ヘンリー・チー賞」。5日間で最も釣り上げたボートのキャプテンに送られるこの賞は、今年、2日目の689ポンドのマーリンを釣り上げ、結果1,589ポイントを獲得した「モンキービズⅡ」号のチップ・バンモルス船長に送られた。
表彰式は、大会の出発地点であるカイルア・ピアの目の前にあるホテル「キング・カメハメハ・ホテル」のバンケット・ルームで開催された。カクテル・パーティーでは、惜しくも入賞を逃した各国のチームが壇上に上がり、大会中の思い出話、それぞれ言い訳、残念な気分などをおもしろおかしく語ってくれた。そんな和やかな雰囲気のなかで、いよいよ表彰式がスタート。ホールでの表彰式が始まると、専属のカメラマンが撮影した各チームの写真がスライドショーで流され、様々なシーンに拍手や歓声があがり、会場は最高潮の盛り上がりに。特に大会運営スタッフの画像が映し出されると、会場全体から惜しみない拍手が送られた。毎年大会を運営しているスタッフやボランティアも多く、長く続いている伝統的な大会を支えてきたスタッフに対する、参加者の紳士的な気持ちを感じることができた。
結果は下記の通り。
1位 HILTON GRAND VACATION CLUB 1,239ポイント
2位 TEAM LANTANA 1,000ポイント
3位 PAJARO VALLEY GAME FISH CLUB #1 900ポイント
たくさんのトロフィーを手にした日本のチーム「ヒルトン・グランド・バケーションクラブ」、本当におめでとう! 49回目となる来年のトーナメントは、2008年7月28日~8月1日に開催。日本の連覇はなるか!!
最後に。今回入賞はできなかったけれど、取材にご協力いただいたコナのトローリングの達人であるウキさん、ありがとうございました。また初日にボートに乗せていただいたKona Game Fishing-Miyakeの皆様、ありがとうございました。また海でお会いしましょう!!
⇒ハワイアン・インターナショナル・ビルフィッシュ・トーナメント前編はこちら
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2007年9月13日公開